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2013年6月 5日 (水)

岩明均「寄生獣」

知り合いにシンイチという名前の人がいなくてよかった八橋壮太朗です。


寄生獣

岩明均
講談社

想像力たくましい子供を簡単に引き込む世界がアフタヌーン(講談社)にありました。中でも最も忘れられないのが岩明均さんの「寄生獣」。最近になって読み返しても、まったく色あせることなく没入させられてしまいました。1にも2にも、「ミギー」なんですが、その前にストーリーを振り返ってみましょう。こんなに素晴らしく練り上げられたお話をうまく書けるか自信がありませんのでかいつまんでご紹介。

概要から。主人公のシンイチは高校生。舞台は現代の日本です。現代と言っても、1990年代です(連載当時)。宇宙から未知なる生命体がやってきて人間に寄生します。寄生と言っても、心身ともに乗っ取られます。彼らの主食は人間なので、各所で奇怪な殺りくが発生し、主人公も巻き込まれていきます。人間vs寄生生命体という、種の争いがジワジワと進行する。食物連鎖のピラミッドに君臨するの人間の倫理観や正義感とは?というスケールの大きな課題を日本の男子高校生を通して描かれています。

主人公のシンイチが主人公たる由縁は、未知なる生命体に中途半端に寄生されてしまうというレアケースによって生まれる。他の寄生された人間は、脳を中心に乗っ取られて心身ともに化け物になります(見た目は自由自在なので人間の見た目のまま生活しています)。シンイチは生命体に腕から進入されたところで目が覚めて、腕をしばって脳への介入をふせぐことができた。結果、右腕だけが化け物という貴重な存在になる。自在に変形し、知能を持つ右腕をシンイチは「ミギー」と名づける。ミギーにとって、生命維持にはシンイチという寄生対象が絶対に必要であるため、不思議な共存関係が始まる。

未知なる生命体は人間を食糧とするため、各地で奇怪な殺りくが発生します。しかも、彼らは同種族が近くにいると感知できる能力があるため、シンイチは未知なる生命体から好奇の目で近づかれます。シンイチが脳まで寄生されていない、ほとんど人間だということにすぐ気づかれるため、「危険なヤツ」として命を狙われます。ミギーは同じ生命体の仲間ではあるものの、シンイチが死んでは生きられないので、共闘することになります。

未知なる生命体に感情は無いものの、一部に知能が発達した者も現れます。だんだん人間を勉強し、組織化し、社会に浸透しはじめるころ、シンイチは友達や家族が犠牲になって殺されるなど憎しみのカタマリとなっており、人間と未知なる生命体の戦いのキーパーソンとなる。最後は重火器を持って組織化された人間たちのほうが強く、勝利します。作品全体を通じてシンイチは、人と自然、人と地球の関係について体感的に悟ることになります。そんな話です。

さて。うまく説明できたかわかりませんが、最も重要な存在「ミギー」を飛ばしています。この作品はシンイチとミギーの不思議な友情関係が面白いのです。感情を持たない未知なる生命体のミギー。シンイチの戦う相手と同じ生命体であるミギー。命を狙われるシンイチを守るミギー。生死をかけた数々の試練を共闘していくことによって、シンイチは敵と同種であり感情も持たないはずのミギーとの強い情が生まれていく。そしてそれがどうなるかは…書かないでおこうと思ったのですが書いてしまいましょう。ミギーは自分の存在意義や未知なる生命体そのものが何なのかをずっと考えていた。しかし、最強の寄生生命体(ラスボス後藤)までも人間たちに倒された最後では、人間の情を悟ったのかのような域に達したようで、シンイチに寄生したままではあるけれど表立って活動することはやめてしまう。まるで死んだかのように。ミギーがこの決断をし、シンイチとお別れを言うシーンは感動してしまうのです…。ミギー!いかないでくれ!

そこでお話を終わらせることなく、ちゃんと最終話でミギーの存在を確認できるような出来事が起こって完結します。なんてよく作られたお話なんだ!!ミギー!

1巻の表紙に書かれている文章が強烈ですね。

シンイチ……

『悪魔』というのを本で調べたが……

いちばんそれに近い生物は

やはり人間だと思うぞ……

寄生獣(完全版)(1) (アフタヌーンKCDX (1664))
岩明 均
講談社
2003-01-21

by Amazon

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