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2013年6月20日 (木)

ドラマ「書店員ミチルの身の上話」@NHK

印籠がない水戸黄門とポケットがないドラえもんを並べて写真と撮りたい八橋壮太朗です。


書店員ミチルの身の上話

演出・脚本 合津直枝
原作 佐藤正午「身の上話」
出演 戸田恵梨香 高良健吾 柄本佑 安藤サクラ 新井浩文 大森南朋

NHKで2013年1月から3月まで全10回の連続ドラマとして放送されたドラマ「書店員ミチルの身の上話」。録り溜めてありまして、じわじわ消化し見終わりました。

ん~。これは…。正直に言って、良い感想と悪い感想、どっちもあります。いつもどおり、雑感から。
・戸田恵梨香様の書店員制服が似合ってる
・うらやましい新井浩文さん
・ナレーションも冴える大森南朋さん
・宝くじが当たるシーンの前フリがうっとおしい
・主題歌がミスマッチ
・制作陣の技能の高さがわかる
・だけれども上手い=面白いではないので悩ましい
・女性のナマっぽさが表現できてる
・うまいフィクション=うまい嘘だ!
・30分×10回の連続ドラマというフォーマットは良い
・結末は不満というか結末が描かれていない


戸田恵梨香様


新井浩文さん


大森南朋さん

何から書きましょうか。お話から書きましょうか。
長崎の書店で働く若くて独身の女性、古川ミチルが主人公。ミチルは誕生日に彼氏から高価な釣竿をプレゼントされる(思うに、指輪でもプレゼントしてればこんな話にはならなかっただろう…)。しかしミチルは彼氏以外にも男がいた。出版社の営業マンだ。ミチルが働く長崎の書店でも、月に1回は出張してきて営業をしている。東京に帰る営業マンをミチルは見送るが、バス停まで見送るつもりが空港まで見送りに行ってしまい、ついには東京までついて行ってしまう。職場にも彼氏にも家族にも嘘をついて行ってしまう。翌朝早朝の飛行機で長崎に帰るつもりだったが寝坊。長崎に帰る気がなくなる。ついていた嘘も、何重にも塗り重ねる。東京の大学に通っている幼馴染の家をアテにしつつ、書店の同僚から買出しを頼まれていた宝くじを確認したら、1等2億円が当たってしまう。

このペースで書いていると、あらすじにならなくなるので、もっと簡略します…。
長崎で平凡な生活をしていた書店員ミチルは、何の考えもなく男についていって気がついたら東京で暮らし始める。たまたま買った宝くじが当たり2億円を手に入れる。長崎から彼氏が追いかけてくる。ミチルは彼氏には興味がなくなっているのに連れ戻そうとされるので、困る。強引にアパートから引っ張りだされそうになったとき、東京でできた友達が彼氏を殴り殺してしまう。ミチルは通報しようとするが、友達たちは隠蔽する。その後もミチルを追って何人かがやってくるが、殴り殺される。そのうちミチルも殺されそうな恐怖に襲われ、東京を脱出する。長崎に戻ってみたけど家族に合うわけにもいかず、フラフラとしているところをバスの運転手に拾われる。なにやら過去に事情がありそうな運転手は、同じく事情があるミチルの面倒をみはじめ、結婚、妊娠。過去はもう忘れられそうだった。でも、殺人犯は追ってきた。運転手は事情を把握、殺人犯を警察に突き出す。運転手も過去に犯罪をしていてついでに自首する。ミチルはお腹の中にいる子どもとともに、ダンナ(運転手)の出所を待つ。

この作品をひとことで言うなら「よくできた嘘」。そして怒られると思いますけど感想としては「上手くて面白いのに、不思議と不満とつまらなさで終わる」と思いました。なんていうかな…。たぶん、同業者は絶賛、ボクみたいな素人視聴者は不満、みたいな感じでしょうか。上手いんです。上手いんだけど見終わった印象がとてつもなく悪い。途中のお話の転ばせ方を楽しめるかどうかがポイントです。見終わってなにも残らない。何だったんだという思いは残りますけど。野球に例えるとオッサン臭くなりますが、プロ野球中継に例えると、良いプレーもあって逆転劇もあるのに、終盤になって放送時間がたりずに中継終了。「なんやねん!」結果はニュースを見ても新聞を見ても載ってない…という感じです。テレビ放映版エヴァンゲリオンの終わり方と言ってもいいかもしれませんね。終わり方がとっても不満。

基本的に救われません。書店の同僚・初山(安藤サクラさん)との友情がチラっと出てくるのが最もじんわりするところ。最後に拾ってくれる運転手(大森南朋さん)も、良いんですが。

しかし上手いと思ったところは数知れず。まずは役者さんについて。
主演の戸田恵梨香様。若くてかわいくてキレイなお嬢さんの身の振り方がよく出ています。男の振り回し方なんか、いるいる!と思わされるというか、ああ、戸田恵梨香様が普段やってそう…に見える。そういう役づくりらしいんですけど、いやー、見た目がいい子の身のこなしがリアルなのは当然ですね(笑)喜怒哀楽が強すぎず、その場しのぎの嘘を重ねたり気分で動いたりする行動は、うまく描かれています。
実は最も役づくりが難しいだろうなと思ったのが高良健吾さん。後半戦になるとキャラが変わります。実はやってることを考えると無期懲役か死刑しかないっすね。コワイっす。最終回はサイコキャラですよ…。
結果的にお膳立てとしてミチルを盛りたて、殺されていく役の柄本佑さん、新井浩文さんもいい。特に新井浩文さんは、スポーツマンっぽい営業マンスタイルが良い意味で「らしくない!」。殴られキャラなのは「らしい」感じでしたけど。主人公のミチルが感情移入させないように描かれているのに対して、オトコたちは切ないぐらい男から同情されそうです(笑)。
割愛しますけど波瑠さんと大森南朋さんの安定感も良かったです。

おそらくこの作品が同業者ウケが良いのは、次のポイントでしょう。
・主人公に感情移入させずに中盤まで持っていく三人称視点。
・平凡な生活に宝くじ2億円でハッピー、嘘に嘘を重ねるコメディの予兆から、突然サイコサスペンスに転換する。
・主人公のきれいでかわいい女の子が、けっこうリアルな挙動をしている。
・いろんな細かいあり得ない出来事が嘘っぽく思わせない淡々とした描き方で乗り切っている。

ボクがそんなことを分析してもしょうがないのですが、この作品は「逆ジブリ」と呼びたい。
ジブリ作品は都市から田舎へ行って、ファンタジックな出来事が起こり、成長して帰ってきます。
「ミチル」は、田舎から都市へ行って、サスペンスな出来事が起こり、追われて逃避行します。

最後に、連続ドラマは30分×10回というサイズがとっても良い気がしました。毎週見ても面白いし、一気にまとめて見ても楽しめる、いいバランスだと思います。

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