佐藤祐市監督「ストロベリーナイト」
チャンスがピンチになるのに慣れた八橋壮太朗です。
うっかり見に行けた映画「ストロベリーナイト」を見てきました。
ストロベリーナイト
監督 佐藤祐市
原作 誉田哲也
制作 共同テレビジョン
出演 竹内結子 西島秀俊 大沢たかお
スペシャルドラマに始まり、連ドラを経て映画化のストロベリーナイト。キッチリ全部見ることができました。素人目に見ても連ドラにするにはスケジュール合わせが難航しそうなキャスティングですが、どうも時間をかけてきっちり作ったらしく、密かに満足していました。さて、映画はどうなんすかね。
雑感を並べてみます。
・手堅い
・ダークかつ色彩が少なめ
・頑張ってる画づくりを横目に、実は雨の音が劇場での視聴をグレードアップさせてくれている
・海外のサスペンスドラマが好きな人にぶつけていってる気がする
・ひとりで見るなら千円、連れと見に行くなら1800円でもいいかな。
ストーリーは、ん〜、いつもの連ドラのまま2時間にできる話にして、チーム解散というイベントを持ってきているという不足の無い感じです。でもなんだろう、もともとストロベリーナイトは連ドラとしてちょっと期待させるツクリ&じゅうぶん期待に応える作品だったということを考えると、取り立ててスゴい!とか言うわけでは無いです。ちゃんと見る気を持っている観客に、ちゃんと作ってみたよ、というキャッチボールをしたがっている作品と感じました。
そんなことより、竹内結子お姉さんの「菊田ぁ〜」という呼び声が聞きたくて見てる気もするんで、そういう視点で言ってみるとします。姫川は菊田とイイ感じの仲になってたのに、今回のゲスト大沢たかおが演じるヤクザさんに車中で抱かれるんすよね。それをクルマで尾行してた菊田がキッチリ目撃、一部始終どころか最初から最後まで見届けるなど、菊田が痛くてたまりません。ま、いちおう姫川はついうっかり勢いでヤっちゃって自責の念にかられてるんですけど菊田くんにはムリですみたいな流れで切ない。それ以上でもそれ以下でもない感じで描かれていて、見ているこっちが「菊田ぁ〜」と呼びかけたくなりましたね。ええ。あと、無駄に動きがいいガンテツ。いいとこ持っていく三浦友和。竹内結子の独断による単独操作がメインなので、ドラマを見てないとチーム解散とかガンテツとかコメディ担当の槍魔栗三助あらため生瀬勝久殿の感慨がサッパリ出てきませんね。TBSが「スペック」でやったのをフジテレビが「ストロベリーナイト」でやったって感じっすかね。なぜか両方に出ている田中哲司刑事部長殿はキャリアの嫌味がにじみ出てていい人選ですね(笑)
とりあえず言える事は「ドラマ見てないと半分ぐらい拾えない」ってこと。そりゃお話として満足はできるかもしれませんが、拾えないものが多くてもったいないですね。ドラマを見ないと、宇梶剛士&小出恵介のもったいなさが理解できませんですハイ。いなくて一緒の扱いでヒドいっす。チーム解散なのに…(^^;;
ここからは、その他に思った事を書こうと思います。
なにより雨の音です。この映画は「インビジブルレイン」という小説が原作で、雨がけっこう降ってます。これが劇場の音響システムを鳴らす鳴らす!キャノンのカメラシステムで収録されているのを一部で宣伝してますし、そこも見所の一つだと思いましたが、雨の音が最高です。劇場で見てよかったと思えるのは雨の音。サウンドデザインのやりがいがある作品ですね。久しぶりに劇場で聴いて良かったと感じさせてくれました。
次に画づくりですかね…。キャノンのカメラシステムがどうなのかは、素人にはサッパリわかりませんが、被写界深度の浅い、ボケ味満載でした。暗いトーンの画が多いんですが、そこも良く撮れてるっぽいです。ただ、ボケ味やフォーカス送りがどうとか言うほど像を楽しませてくれません。それは、撮影したあとに加工してるのが良く分かるからです(不自然なボケがいっぱい)。ボクでも気づくんで、アレはやり過ぎとちゃいますかね。なんてね。でも、この作品を見ていて感じさせられるのは、高解像度映像になればなるほどボケ味や彩度といった、スチール写真に近い魅せ方が新鮮に感じるんだなということ。この「ストロベリーナイト」という映画は、ちょっと全体的にボケすぎて、もうちょっとメリハリをつけてほしかったなあ。
ただ、お話や演技、絵のつなぎや音の作り方なんかは手堅くて実直、やり過ぎないのが基本。そこは嬉しかった。理系な言い方をすると、オーディオもビジュアルもS/N比がイイのはここまでできるねん、を武器にしてると思います。たぶん収録から上映までフルデジタルなんだろな。いやー、キレイやわー。
良くも悪くも、ドラマ見てないと劇場に行かなくていい作品でした。
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