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2012年11月13日 (火)

津田大介「ウェブで政治を動かす!」Kindle版

睡魔に逃げられて困っている八橋壮太朗です。

国政選挙、都知事選挙が近いタイミングで、更にKindleの国内販売開始に合わせたかのようにリリースされた津田大介著「ウェブで政治を動かす!」を読みました。出版元も、なにかと話題の朝日新聞出版。狙ってもできないよ!日頃、津田マガ(津田大介さんの有料メルマガ)を懇意にしていますので、今回は愛のあるツッコミを中心に感想を書いておきたいと思います。Kindle版は安いので、iPadやiPhoneを持ってる人は、騙されたと思って買ってみて欲しいです。

ウェブで政治を動かす!
ウェブで政治を動かす!
著 津田大介

取り急ぎ雑感です。
・よくまとめてある
・「おわりに」に代えて」がいい意味で長い。濃い。
・早く読んだほうがいい(鮮度が短そう)
・Kindle版500円て安過ぎる
・やっぱり仕事は真面目な津田さん
・煽動的な内容かと思ったら違った

内容は、主に2つのパートがあります。
(1)ネットと政治の関係を実例を挙げて、よくまとめてある
(2)なんで著者が政治に関心を持つようになったのか
この2つで成立しています。思ったより、読者に政治参加を呼びかけるような感じが無くて拍子抜け。いい意味で

内容は詰まっていて満足ですが、いろいろ詰め込まれているだけにメッセージ性は薄れてしまっていると思います。フジテレビデモが思ったより広がらなかった理由の分析が書かれていますが、それはこの本にも当てはまると思います。政策が思案され、決定されるプロセスをつまびらかにするのかと思えば、政治家がネットをどう使っているのかが書かれていたり、素人が政策にアプローチできた例が書かれていたり、多面的。「餃子の王将」に行ったのに「ラーメン+チャーハン」セットを頼んでしまった時の感覚に近いかもしれません。美味しいんですけどね。餃子も置いてあるんですけどね。チャーハン食いたくなっちゃった的な。

この本は、本当に読みやすいし、よくまとめられています。国際的なネットと政治の関わりについて、1時間で知ったかぶりできるレベルにしてくれる。しかも、事例はバラバラで個別の事案ですが、それをリニアな書籍としてまとめられているのも、読みやすさの理由です。
ただ、大学の課題レポートとしてのデキの良さはピカイチだと思うんですが、読者に何かを訴えたり面白いと思ってもらったりする部分は、ものすごく足りない。著述家の業績として書く意識が強くて、読者に何かを訴えたり、面白いと思ってもらいたいという、ある種の「サービス精神」は感じられない。いい意味で解釈すれば、素直で真面目な読者には伝わる、実直な内容となっております。

それとは別で、著者が政治に興味を持った理由とか、個人的な政治との関わりについて書かれている部分もあるのですが、実はこちらのほうがボクとしては大変興味深い。一般人にとって政治や政治家、もっと言えば政策立案って遠い存在だと思うのですが、津田さんが政治にどう触れたのか、どう思ったのか、という部分を通して、政策立案やロビーイングの実態が身近なものとして感じられる。政策について、意見/主張/提案をしたいと思ったら、一般人はどうすればいいのか。それが書いてあります。その方法は、本書を読んでいただくとして、とても納得できる内容でした。一般人にとっての、政治や政治家との関わり方に、もっと特化して欲しかったと思うぐらい。

愛のあるツッコミと称して、上から目線なことをだいぶ書きましたが、津田さんってエラいなあと思うところも多々感じられるので、せっかくなので書いておこうと思います。
中でも著作権問題の関連で、権利者団体ばかりが政治に提言する中で、対抗する立場としての団体を設立されていることが、サラっと書かれています。これ、本人だからサラっと書いてあるけど、なかなかできませんぜ。設立して、活動して、という、アクティビストたる由縁がここにあるな、と感じました。言うのは簡単だけど、やるのは難しいもの。エラいなあ。ほんとエラいよ。大学で先生やるとか、普通にこなしてますよね。スゴいことですよ、ホント。
そして、政治メディアを立ち上げるという目的を持って有料メルマガをつくり、1年以上継続されている。本を書き上げるのもそうだけど、継続とか書き上げるとか、ただそれだけで素晴らしいことです。簡単ではないと思います。

本書のタイトルは「ウェブで政治を動かす!」ですが、タイトルを勝手に変えるとしたら「ネットで政治の取り巻く環境は変わった」でしょうか。一般人には政治/政策/政治家との付き合い方を考えるきっかけを与え、政治家にはネットをどう使ったら良いかを指南するという、双方への提言やガイドになっています。そして、ネットが政治に深く関わっていくことが避けられないということを、多くの事例を使って説得力を増して語られています。思ったより、一般人向けというよりは政治家向けに書かれている気がして、複雑な気分になりました。

何度か引き合いに出される東浩紀さんの「一般意志2.0」を拠り所に、津田さんの近年の活動を通じて得られた知識や経験を、政治というテーマで書き綴られた本。そんなところでしょうか。東浩紀さんの本が難しくてよくわからないという(ボクみたいな)人には、オススメの本です。ボクは自分が頭が悪いことを自認してるけど、だからと言って難解な本を持ち上げる気はないので(もっと言えば東浩紀さんは圧倒的に正しいけど俺には入って行けない、分厚い本なんか読まないよ、水が合わないよ、ということ)、津田さんの存在は、とても大事で貴重なのであります。

あ、この本の良いところを1つ書くのを忘れていました。
政治家の立場からのネットの使い方について、けっこう詳しく書かれていること。政治家が、普段どう思って、選挙民と付き合っているのか。ネットを使っているのか。そこが想像や推測じゃなくて、具体的にどう考えているかが例示されていて有益です。そこを語るのは、やっぱり政治家と交流がある津田さんのパーソナリティが発揮されていて、間違いなく有益。
もうちょっと大局的に言えば、「誰に投票したらいいのか」「どこの党を選べばいいのか」なんていうレベルの話はさっさと通り越して、いい政策、いい政治を、どうやったら実現できるのかというアプローチについて、正面から述べられています。
そういう意味では、もう少しロビーイングや政策立案プロセスについて、掘り下げて書いて欲しかったかな。

なにかと選挙が近い今、まず読んで損はしない、有益な本です。どこかの政党に偏ったり、煽動したりする内容ではありませんので、安心して読んでいただけると思います。オススメです。

★追加記事★
心ある友人より、この記事は無いんじゃないかというお叱りとご指導をいただきました。自省するとともに、醜態を晒しておこうと思います。指摘された箇所がわかるように削除線を大量に入れてあります。どなたからでも、修正撤回削除などご希望いただけましたら、ご意向に沿うようにしたいと思います。

友人からの指摘
・「愛のあるツッコミ」と称している割に愛がない
・「上から目線」というより「失礼」なだけ
・特に<大学の課題レポートとしてのデキの良さはピカイチ>って褒めてないどころか、かなり頭にくると思う。大学で教えてるの知ってるよな?記事にも書いてるしな
・これこそ思ってても言うな。そして思うな
・援護射撃してると言うけど、背後からランチャーで誤射しているぞ
・少なくとも応援してるのはフリだけに見える
・本当に応援してるの?

最初は「あんまり読まれ無いと思って」などなど抗弁をしていたのですが
・津田マガでググったら、それなりに上位に出てくるサイトというのを知ってて言うな
・発売日の午前0時過ぎに、即Kindleで買って、即ブログ記事書いたものを関係者が読まない訳がないだろ
・日頃オフの場では絶賛して人に本を買わせたりメルマガを読ませたりしてる割に、なぜネットではツッコミが激しいんだ。損してるね君
・いろいろ大変なところを良く理解してそうな文面の割には冷たいよね。愛はないんじゃないか。
・擁護するとしたら、発売後すぐに記事にしたかったんだろうけど裏目に出てるよね
・発売日にすぐに買って即読むのは、確かにのめり込んでるとは思う
・もうオマエは見限られたね、調子乗ってたんじゃね?
・しばらく津田さんのことから離れろ。とりあえず年内禁止
・文字通り「陰から応援」しろ。

などなど叱咤激励をいただきました。
三十路にもなれば、お叱りを受けることも減るものです。真摯に受け止めて、友人に感謝して、日々精進を心します。

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コメント

今まで読んだ書評の中で今の所1番面白かったですよ。
私もかなり津田さん対して(彼の信念に)愛を隠さない方の
人間ですが、「え?なにこれ?」とはならなかったです。
傍線なくていいのになぜ?と思いながら読んでたのですが
最後にその経緯が書いてあったので、そこも含めて二度美味しい書評になっているのですね。
書評として全面好意一色よりは個人的に好きです。
その内容が私の感じたものと違う所が多々あるのですが
それが書評の面白さだと思うし。

心ある友人さんがおられることがこんな風に形を
なして現れる場合があるんですね。
楽しい書評をありがとうございました。

コメントありがとうございます。
持つべきは友ですね。友人の大事さを再確認しました。
年内禁止と言われているので、しばらく離れていようと思います。
年内と言っても1ヶ月ぐらいしかないので優しい友人です(^^;;

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