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2012年10月10日 (水)

津田マガの本質とデジタル水商売を考える

ごま団子が大好きな八橋壮太朗です。

ボクは、あいかわらず津田マガ(津田大介さんのメルマガ)をイチオシしているわけですが、まずはその理由を書き、そして意外と市場が頭打ちになるのではないかと思っているデジタル水商売について書いていきたいと思います。

津田マガをイチオシしている理由はいろいろありますが、大きな理由は3つ。「支援」「クオリティ」「ステレオタイプへの姿勢」です。

・支援
津田マガは津田さんが政治メディアを作るための資金作りが目的と公言されています。その政治メディアがどういうものなのかは、今のところなんとなくしか分かりません。それでも、彼ならきっと世の中を良くしてくれるのではないかという淡い期待をしています(しかも、仮に実現しなかったり期待を裏切られたとしても、まったく文句のないメルマガの内容となっています)。彼に淡い期待をしてみようと思う理由は、ただひとつ。津田さんの「やらない行動」によって勝手に信頼感が生まれているから。特に、自費でメディアを立ち上げたり、マネジメントを外部に委託したりしていないところは非常に大きい。彼ほど名前が売れれば、多くの「業界人」が言い寄ってくるのは間違いない。それを断って自前で活動しようとする姿勢は信頼感が持てる。そして、そのためには継続的な支援が必要でしょう。じゃあ、支援してみようじゃないか。そういうことです。以下でクオリティを挙げますが、1年以上クオリティを保ってメルマガ発行を続けるというのも信頼感があります。それだけ継続するのはスゴいことです。

・クオリティ
ここでいうクオリティは、記事の内容、テーマの選び方と着眼点、構成、編集など、すべてにおいてレベルが高いということ。もちろんバラツキはありますが、1年以上継続して品質を保つということは週刊誌でも難しいことでしょう。記事が長くて読めないときもありますが、あとから振り返って読んでも色あせないテーマが多くて、とても満足できる内容です。特にテーマの選び方はボクの指向と一致しているものが多い。テレビで言うところのNHKクローズアップ現代に近い問題の取り上げ方です。安心して購読できる。また、対談形式の記事が多いのですが、ボクのようなアホでも分かった気になれる。これはありがたい。間違っても崇高なテキストではないんですが、クオリティは高い。つまり、読みやすさやわかりやすさを重視したツクリで、「なんとか伝えたい」という意志が強いことが分かります。

・ステレオタイプへの姿勢(多様性バンザイ)
細かいことを以下に書きますが、要はボクの姿勢とほぼ一致しているということです。
ステレオタイプというのは固定観念や型にはまったこと、という意味です。あんまり分かったことを言う感じで自分でも嫌ですが、言論空間に出てくる主張は、保守的でステレオタイプに基づいているものと、その逆のリベラルなものという2軸が目立つ。で、このリベラルなものは「ステレオタイプを叩く」という手段を取ることもあるのですが、それが目的化してしまっていたりする。つまり「固定観念を叩けばオッケ」みたいな主張があったりする。ボクはコレが嫌いです。例えば「大学入試のペーパーテストは思考停止だ」などというもの。ペーパーテストは良い面も多く、昨今の企業採用ではしっかりペーパーテストをしていると思われる国公立大学に注目が集まっているほど。物事には多面的な解釈が可能で、その多様なアプローチを忘れずに問題を掘り下げる、問題の本質に迫ろうとする姿勢が津田マガには感じられます。実は、世間の多くの人たちは、こういう保守とリベラルのどちらにも納得できなくてフワフワしているんじゃないかと思っています。そこを汲み取れる人、多様性の重要さを強く意識している人は、なかなか貴重です。

以上、ボクが津田マガをイチオシする理由でした。そして、これこそが津田マガの本質だと思っています。発行者(津田さん)への信頼感。記事の有益性。多様性バンザイ。これです。

ちなみに、他のメルマガは、この3つの要素のうち、1つか2つしか満たしていないものが多いのではないでしょうか。価値のある記事=メリットのある記事を書いたとしても、そしてパーソナリティを出したとしても、多様性まではなかなか辿り着けない。しかも同等の価値のある記事は、無料でWebサイトで読めてしまうものも多いのです。少なくともゲンロンサマリーズぐらいの安価でメルマガを出すぐらいの割り切りが必要だと思います。

長々と、津田マガを持ち上げる文章を書いてきましたが、ここからはデジタル水商売について書きたいと思います。

デジタル水商売とは。その前に、水商売とは。

水商売

料理屋・待合・酒場・バーなど、客に遊興させるのを目的とし、客の人気によって収入が動く、盛衰の激しい商売。水稼業(みずかぎょう)。

小学館「デジタル大辞泉」より

つまりデジタル水商売とは、デジタルな接客業。デジタルな接客で商売するということです。もっと具体的に言えば、TwitterやFacebookで顧客とコミュニケーションし、コミュニケーションそのもので売り上げたり、コミュニケーションを主軸にしてデータ販売などを行うことです。すべてがオンラインで完結。
昨今の売り上げがハンパ無いソーシャルゲームは、デジタル水商売のひとつですが、自ら接客せずに顧客同士がコミュニケーションするという、水商売の昇華型と言えるスタイルです。パチンコとの類似性は言わずもがなですが、射幸心の近さで言えば、好きなキャバ嬢に貢ぎ続ける感覚のほうが近いと確信しています。

ちょっと話が脱線しました。なんで津田マガの話でデジタル水商売のことを持ち出すのか。それは津田マガを通して考えれば、意外とデジタル水商売の限界が見えているのではないかということです。

津田マガは、津田さんがTwitterで告知/拡散して購読を促しています。それだけなら単なるプロモーションです。でも、彼は購読者をフォローし、時には会話をする。巻き込みを加速させているわけですが、彼はそれを納豆のように混ぜれば混ぜるほどより強固になるものとして、購読者同士のコミュニケーションを促している。そして、メルマガというデータ販売を行っている。これはもう、デジタル水商売のひとつです。もちろん、まったくいかがわしさはありませんけれども。

何が言いたいんだ?という感じになってきているかもしれませんが、ここで津田マガのオフ会がとても重要だと言いたいのです。津田マガは、購読者限定のオフ会を、たまに開催しています。オフ会はデジタル水商売ではありません。リアルに会話ができる、空間を共有する場です。やっぱり、顔を合わすコミュニケーションも必要なんだな、と思う。あれだけメディア王になると公言し、メルマガ購読者数も多いと思われる津田さんですが、すべてをデジタル水商売だけで完結させるのは厳しいのではないかと思っています。全員がホリエモンになることはムリだし、それ以前に内容が全然違いますからね。

こういったボクの考えのベースになっているのは、演歌歌手の地方巡業です。唄ひとつでレコードショップや公民館を周り、握手をし、CDを売り、顔を覚えてもらう。いわゆる手売り。都市部はともかく、全国区で根強く続けられている方法は、ここにあると考えています。お客さんひとりひとりとの接触は、唄1曲分かもしれない。でも、それを補完するように存在するのがテープやCDであり、ラジオであり、テレビでした。「ごくわずかな直接的コミュニケーション」+「メディアを通しての消費」というスタイルは、昔から変わらないんだなあ。劇場で会えるアイドルユニットというのは、そういう原点回帰でもあったのだと思うのです。

デジタル水商売は、ソーシャルゲームという成功例があります。しかし、パチンコ的と言われるソーシャルゲームは、すでにグレーゾーンの扱い。ガチで風営法に類する規制ができてもおかしくない。
そんな中で、ホリエモンのようにパーソナリティを軸にしてデジタル水商売を成功させる人物というのは、ごくわずかな限られた人にしかできない。いや、事実上不可能ではないか。仮に同じやり方をやっても、永続的に収益を上げるのは難しい。
そして、周りを見渡してみればボーカロイドの成功があります。しかしボーカロイドは創作物。代表格の初音ミクはライブを行い、カラオケ配信となり、伝統的な芸能活動に近いことも多く行っています。
結局は、マンガや音楽、アニメのように、創作物の流通が伴う商売に手を出すことになる。
これは、すでに接客業とは呼べない。デジタル水商売ではないと言っていい。
現に、津田さんは本を出版し、講演会、ラジオ、テレビ番組に出演する傍らデジタル水商売(Twitter+有料メルマガ)をしている(※何度も言いますけど、いかがわしさは全くありません)。そもそも、メルマガが創作物というか、著作物に当たりますから、デジタル水商売らしい一面はごくわずか。

こう考えると、デジタル水商売だけで純粋に成立するのはチャットレディのようなサービスだけじゃないかと思う。アメーバピグやニコっとタウンだって、コストを考えれば単体でどれだけ儲かっているのか。有料メルマガも乱立していますが、原価こそ安くできるものの、まっとうな商いとして成立しているのはどれだけあるのでしょうか。とても懐疑的になってきます。

ま・と・め(はあと)
デジタル水商売は、従来の本/ラジオ/テレビなどの媒体のひとつと考えるのが適当であり、単独で商売が成り立つには風営法の対象になるぐらいのグレーゾーンを狙うしかない。仮に成立してもファンクラブ化で留まってしまい、意外と市場が頭打ちになっているのではないか。
津田マガはスバラシイ。安定的に継続発行してもらうためにも、購読者を増やしたい。
ということで、ボクの頭が弱いことを暴露するのと引き換えに、騙されたと思って購読してみて欲しいのです。
↑ここに落ち着く(^^;

公式サイト:津田大介の「メディアの現場」http://www.neo-logue.com/mailmag/index.html

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