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2012年9月24日 (月)

長井龍雪監督「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

家電量販店で正社員店員の態度が横柄なのに派遣さんが怖いぐらい親切で泣きそうになった八橋壮太朗です。
横柄な正社員はバックヤードにすっこんでろ!値下げの決定権もろくに持ってないくせに!(言いすぎ)

ボクは2008年から2009年にかけてテレビ放送された「とらドラ!」が好きです。ですが、2011年に放送された「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は全く見ておらず、いつか見なきゃと悶々としておりました。両作品ともそのスジでは有名で「監督:長井龍雪」「脚本:岡田麿里」「キャラクターデザイン:田中将賀」という主要メンバーが共通しています。オンエアものは、初回放送を逃すと完全に見る気を失うため、今に至るわけでございます。ネットで公式動画が見られるとか言われても、やっぱり初回を逃すと萎えるのです。

今日は夜までずっと雨がヒドイというので、ここぞと思って一気に見ました。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
監督 長井龍雪
脚本 岡田麿里
アニメーション制作 A-1 Pictures
出演 入野自由、茅野愛衣、戸松遥、櫻井孝宏、早見沙織、近藤孝行

小説も平行して連載されていたようですが、基本的にアニメがオリジナルの作品であります。なんかウレシイです。そして東京サンシャインボーイズの「罠」を無断上演して怒られた経歴をお持ちの櫻井孝宏さんこんにちは。三谷作品が上演したくなるぐらい好きというのは、気持ちが分かるので他人の気がしません。

この「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」という作品は、ちょっと別の角度から評判を聞いていたこともあり、ストーリーに対して注意深く見つめることとなりました。というのも、昨年、見た映画「見えないほどの遠くの空を」(榎本憲男監督)との類似点が多いのではないか、との指摘があるらしい。(当時の感想記事:映画「見えないほどの遠くの空を」@ヒューマントラストシネマ渋谷

とは言え、なるべく予備知識なしで見るのが好きなので、その類似点や比較については後ほど行うことにします。

まず、どんなお話なのか書いてみます。
埼玉県秩父に住む、幼馴染6人の話。今は高校生。小さい頃は6人で秘密基地を作り遊んでいた。しかし、ひとりの女の子が突然死んでしまう。彼女は6人の中でも明るくステキな子だった。残された幼馴染5人は、それぞれ未練や後悔など引きずりながら現在に至る。今は違う高校に通う者、海外に旅に出て帰ってきた者など、それぞれの生活をしている。主人公は高校受験に失敗して落ちこぼれ高校に入り、加えて不登校。世間体も手伝って、お互いに友人関係でもなくなっていた。
ある日、主人公の前に、死んだはずの幼馴染が現れる。彼女は主人公にしか見えないし、声も聞こえない。なぜ、彼女は現れたのか。「願いをかなえてほしい」と言うものの、何が願いなのかは彼女もわからない。子供の頃の出来事を思い出しながら、距離ができていた幼馴染たちが再び集まる。

拙い文章ですけど、そんな感じのストーリーです。さすがに作品本家の紹介文には足元にも及びませんね。すいません。

彼ら6人(というか5人)は、もう高校生なので、いつもニコニコ楽しく遊ぶような関係ではありません。そんな彼らが、現在の生活と子供の頃の思い出という2つの時代に揺られます。無邪気に遊んでいた子供の頃と、最も周囲の目が気になるお年頃。このコントラストがたまらない。お約束ですけど、男3人女3人(一人は死んでますが)のバランスもあって、気持ちのすれ違いや素直になれないことが多発。でも、本当はみんないいヤツなんです。そこが作り手の優しさなのだと思う。オトナが見てノスタルジックな気分を味わうこともできるけれど、中高生のピュアな気持ちにも訴えかけられるんじゃないかな。

終盤は、みんなで巨大なロケット花火を打ち上げることで盛り上がります。どうやら世間では、この盛り上がりが肩透かしだったような評判が多いようですが、ボク的にはグっときました。すでに、死んでいるはずの女の子が存在してしまっているので、逆に日常感にどれだけ引き戻すかが悩みどころなはず。勢いをつけすぎて盛り上げすぎられるより、幼馴染たちの心境を察して、視聴者が勝手に想いを馳せるべきシーンだと思いました。無駄に引っ張らない。もうちょっと、感傷に浸りたいのにすぐに花火は打ち上げられてしまう。案外、すぐにこのシーンは終わるのです。そんな、すぐに終わってしまう花火が、とてもリアルでした。こういうの好きです。祭りはすぐに終わるんです。それが現実です。

最後には、死んでいるはずの子が見えなくなって、かくれんぼに見立てて彼女を捜すことになります。そして、捜し当ててお別れのシーンとなります。ここは、ちょっとピュアすぎると思われそうな作風です。ココロがキレイな人ほど、感動するつくり。視聴者に媚びないで、作風に沿った演出なんだと感じて、「ええ仕事するやんけ」と作り手に感動。幼いころにみんな仲良く一緒に遊んでいたという、子供ごころに戻ったシーンなんですよね。小さい子供はピュアなんです。だから終わり方も、けっこう無垢な感じ。なので、純粋なタッチでラストシーンとなりました。作り手さん、頑張ったなあ。もちろん中身にも感動しましたけど。

この作品の良さは、丁寧さと、直球勝負なところ。
ストーリーが良いのはともかく、全11話の連続テレビアニメに成立させる構成と演出が頑張っている(ボクは一気にDVDで見たんで申し訳ないですけど)。」
そして、なるべくキャラ立ちやマニアックなネタを仕込むといったことを盛り込まないで作っている。本筋一本、ストレート勝負。潔さが評価の高さに直結したんじゃないでしょうか。
つまり、一本の簡潔なドラマなのに11話にするという構成力と演出力が問われているんだと思います。

ボクはチュンソフ党員なので、終盤に花火を打ち上げるだなんて、「街」を思い出さずにはいられませんでしたね。

さて、奇しくも2011年公開の映画「見えないほどの遠くの空を」と、2011年オンエアの「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に類似点があるという話ですが、これは本当に類似していると思える箇所がちらほら。
最大の類似点は「ヒロインが死んでいるけど、なぜか蘇って主人公の前に居る」ということであります。
しかも、彼女の姿は主人公にしかみえない。共通の友人には見えないのであります。
つまり、最初は友人たちから「お前大丈夫か?(主人公は精神的におかしくなったんじゃないのか?)」と思われる。受け入れられない友人、受け入れる友人が出てきて、最後は信じるようになる。みんなが団結する。
心理的な部分でも大きな共通項があります。それは、ヒロインの死が突然すぎて、主人公や友人たちは、そのことを引きずってしまうのであります。そして、やり残したことを再現したり、達成します。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」では、ヒロインの願いをかなえる。その願いをかなえることを通して、主人公や友人たちも、引きずっていた過去を清算するのです。このアニメでは、お互いの気持ちをぶつけ合ったり、いろいろやりましたけど、最後はみんなで大きなロケット花火を打ち上げました。
「見えないほどの遠くの空を」では、主人公は監督として自主映画を作っていました。しかしヒロイン役の子が死んでしまってラストシーンが撮影できなくなります。主人公は、その完成しなかった映画が心残りでした。しかも映画の終わらせ方、ラストシーンについて意見がぶつかっていたのです。その映画を、蘇ったヒロインを使って完成させることで、彼はヒロインから、過去から開放されるのであります。
必然的に、最後のシーンはお別れのシーンとなるわけですけど、それも共通というか、だからこそ必然なんですけれども。
確かに似ている。アニメでは秘密基地で遊んでいた幼馴染たち。映画では大学の映画サークルで映画を作っていた部員たち。彼らは、蘇ったヒロインをきっかけに再結集します。なんてこった!

「とらドラ!」との共通項も、いっぱいありました。サービス精神なんでしょうか。作風の軸として残したのでしょうか。わかりませんけどウレシイですね。
どちらの作品も、主人公がスレてるけどイイ奴です。しかも主人公は父親と二人暮らし(とらドラ!は母親と二人暮らし)。高校生。バイトしてお金を貯めて、気持ちを形にします。あと、あんまり親が出てこないけど、話の折り返し地点では大事な存在として親が登場します。ほかにもいろいろありますけど、ボクが感じた大きな要素は、そんなところでしょうか。ああ、忘れてはいけません。主人公の母親役は大原さやか様です。たまりませんね。やっちゃん!

「とらドラ!」では、死んだ子が蘇るというようなSF要素が全くないラブコメでしたが、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は、SFと子供ごころに寄った作風で、ラブコメというよりは友情に重点が置かれている感じ。どちらも好きです。どちらも好きですけど、やっぱラブコメがいいなあ。

なお、主人公は幼馴染から「じんたん」と呼ばれていますが、ボクは良く知る人に「じんたん」と呼ばれる人がいるので、なかなか作品に入っていけなくて苦労しました。しかも、幼馴染の子のアダ名が「あなる」。重要なシーンで、みんな「あなる」を連呼するので、感傷に浸りにつつ、しかし半ば笑えるという難しい作品でありました。俺が中学生だったら、家族の前で見るのは恥ずかしかっただろうな。というか見れないな(笑)。

そうだ、オープニングアニメーションとエンディングアニメーションは、今回も秀逸で最高でした。

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