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2012年8月29日 (水)

吉田大八監督「桐島、部活やめるってよ」

みたらし団子大好き八橋壮太朗です。

吉田大八監督「桐島、部活やめるってよ」を見る。
意外とやってる映画館が少ないっす。がんばれショウゲート。なんとかしてくれ博報堂DYMP。
「踊る」にかき消されるぞ!

以前、撮影しているというPRか何かを見て、少し気になっていたものの忘れていました(もう上映が終わってると思っていた)。やたらとツイッターで「部活をやめるらしい」というリーク情報が度重なるので、耐えられず見に行くことに。

もちろんネタバレで書いていきますのでよろしくお願いいたします。

「桐島、部活やめるってよ」
監督 吉田大八 / 脚本 喜安浩平・吉田大八
原作 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
出演者 神木隆之介/橋本愛/東出昌大/清水くるみ/山本美月/松岡茉優/落合モトキ/浅香航大/前野朋哉/高橋周平/鈴木伸之/榎本功/藤井武美/岩井秀人/奥村知史/太賀/大後寿々花

思うがままに書いていきます。
まず、山本美月のキラキラオーラで冒頭は引っ張られます。ええ娘や…。せ、制服…!キレイでカワイイ!卑怯者!
そんなヨコシマなノリでボケーっと見ていると、「金曜日」という文字がデカデカと表示される。
ん?一番最初にも「金曜日」って出てなかったか?一週間たったのか?と思っていたら。
同じ日!!
別の視点で同じ日がリプレイされる。うおお。まじかよ。面白いことするじゃねぇか。このマルチスクリプト感は俺の好み。チュンソフト「街」ファンには超ドストライクにハマるに決まってるじゃねぇか。ここで俺の心では長坂秀佳との比較が始まる。
そして、山本美月の制服姿にキュンキュンしていた俺は、「あ、神木隆之介だ!メガネ似合う〜!文化系オタクっぷりが似合う〜!」「大後寿々花だ!なんか前より輝きが失われてないか?」「橋本愛の透明感は何か既視感があるな」「野球部キャプテンの高橋周平が山本浩司にしか見えない件」などと、じわじわ全体が見えてくるようになりました。(全体か?)

ツイッターによる度重なる「やめるってよ」リーク情報により「桐島」がマクガフィンであるという事前ブリーフィングがありましたので、ただひたすら、この脚本と演出の妙技を楽しむことに。

さすがに映画でありますから、神木君がやってる部活が映画で、8ミリ撮影してたり、ゾンビ映画撮ってたり、なぜか塚本晋也監督「鉄男」を見てたり、「秘宝」読んでたり、部活が弱小で間借りした部室しかないなど、なかなか安定感のある映画っぷり。
それにしても同じ日を別視点で何度も描き、登場人物の機微を多角的に見せてくれる演出でしたが、やり過ぎてないのが嬉しい。これ、面白いし奥行きが出るからポンポンやりたくなるはずなんだけど、言うほどやりすぎてない。何度も言うけどチュンソフト×長坂秀佳の傑作「街」に限りなく近づいている脚本演出であります。「街」ファンは見るべし。「428」でそのエッセンスをライトに昇華させた面白さが、ここにもあります。
早く見ておけばよかった(笑)

映画館で見てよかったなあと、思わせてくれる。この作品はスクリーンに向き合って、じっくり見るべきであります。大きいスクリーンである必要はないけど、スクリーン以外の環境を遮断して、丁寧に撮られた被写界深度の狭い画面の連続を正面から受け止めるべきであります。
同じ日を別視点で何度も描くという性格から、拾わなければならないカットが、計算されたカットがそこにはあるのです。家のテレビ画面でなんとなく見ると、なかなかそうはいかない(のは俺だけか…)。

描いているのは何なのか?という真面目なテーマを頭に描いては、「ま、別にいいか」を繰り返す俺でしたが、最後までみて、ああ、いい映画やんかこれ、と思って劇場をあとにする。
なんか、文章で書くと安っぽいのでアレですが、菊池君が泣いちゃう話がメインです。野球部から外国人選手並みのオファーを受けているのに練習にも試合にも結局出ないという菊池君が、自分のやりたいことを見つけられないでいる。だけど、三年生の夏が過ぎても練習に明け暮れる野球部のキャプテンや、顧問の先生が反対するのにもかかわらず、映画を作りたいと言って撮影を続ける前田君。彼らの姿に気づき、自分は何をやっているんだろう、どうしたらいいんだろうと追い込まれる。泣いちゃう菊池君。親友だと思っていたバレー部のスーパープレーヤー桐島君は、突然バレー部を辞めちゃった上に登校してこないし連絡もつかない(映画にも出てこないw)。つーわけで、タイトルの「桐島、部活やめるってよ」になるわけです。

いい作品だなと思うのは、その描き方が演出にマッチしてるよな、ということであります。
高校生もいろいろあるんだよという。一応、菊池君が泣いちゃうのがメインとして抽出されていますが、部活をやめちゃう桐島君が周囲に影響を与えていることを通して、高校生5人の心情を照らすわけであります。それには、このマルチスクリプト演出は最高にハマる。ひとりのキャラクターも、見方を変えれば違った一面が見えてくるのであります。それが描ける方法なのであります。
原作がそういう作品のようなのですが、そこをウマく映画に仕上げるに当たって、監督が脚本もやってるのは不可避だったんでしょうな…。

それにしても計算されている。笑える箇所が、けっこうちりばめられてるし。無駄に長いカットも無いし。吹奏楽部の演奏にあわせて終盤のシーンを進めるのはええですね。まさかそこまでリプレイするとは…でもやりますよね。的な。

ボクがこういうマルチスクリプト演出が好きなのは、キャラクターが記号として生き生きとしていることと、作り手がキッチリ計算しているのが伝わってくるからであります。

そして、変な言い方ですが「街」は越えられませんでしたな。と思いました。
やはり長坂秀佳は偉大すぎる…。

桐島、部活やめるってよ
http://kirishima-movie.com/index.html


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