「ウコンの力」6缶パックを西友で買うようになった私が八橋壮太朗です。
千秋楽を見てから、しばらく経ってしまいました。「おにぎり」は村木仁、市川しんぺー、池谷のぶえによる新しいユニットだそうで、今回はその旗揚げ公演「斷食」を見てきました。場所は座・高円寺。そう、高円寺です。
陰ながら応援している市川しんぺー氏が新ユニット!と思って、駆けつけてみました。
いやね。3人で旗揚げと言っているだけあって手作り感が微妙に垣間見れるわけです。小道具とかハケさせる人とかいなくて、役者が自分で片付けたり。でも!逆に言えばそれ以外は(いろいろ制約のある中でやってる感じはしたけど)全くシッカリされている。芝居の中身もキッチリ。まずはそこに感動しました。経験豊富な大人が新しくものをつくろうとすると、いろいろ大変だとは思うけれども、初回公演という、のっけからちゃんとした公演ができちゃうんだな、と。熱意だけじゃだめなんです。熱意だけでちゃんとしてない芝居も見たことあります。おにぎりは違います。いろんな制約の中で、ちゃんと熱意が芝居にこもってるし、我々観客に見せたい、伝えたいという姿勢が、コンパクトだけど濃密に存在していました。千秋楽ということもあって、カーテンコールで村木さんが泣き出してました。さすがにこっちももらい泣きするよそりゃ。熱い大人って、青春な熱血より感動するんだぜ。
で、芝居が面白いんですよ。こんなにうれしいことはない。陰ながら応援しててもピンと来ないときは辛口に語る身としては、これは本当にうれしい。
話も、演出も、演技も、ものすごくまとまってた。
きっと、役者さんたちは旗揚げということもあって、何が良くて何が悪くて、どう評価されているのかが、とっても気になってると思うんだけど、全く悪いところなんてないし、すごく満たされる芝居でした。
唯一、「おにぎり」らしさって何だろう、このユニットのテーマとか、トーンとか、テイストとかって何だろうというのだけがナゾのままかと思いましたが、それは置いておいてバッチリ楽しませていただきました。
話は、主人公の母親が病気になったときのために保険として作られていたクローンがいる、母親が死んでしまってクローンをどうするかということになり主人公が引き取るところから始まる。
クローンで近未来的な話と思うでしょ?でもこの芝居に全く未来感はありません。どちらかというと昭和感すら漂う演技というか配役というか演出。好きです。いいよ、このトーン。
ステージをちゃんと広く使った、動きのある演出、テンポのいい展開。文句なしです。
そして今回も、改めて市川しんぺーさんは、いい役者だと感心してしまいましたよ。
あんなにメリハリが効いていて、間を持ってる人はおらんがな。音楽やってる人みたいなセンスがあると思う。
思うっていうかフォークのCD出してるんだよね、、。
この人の持ち味は、味とかクセとかあるのに、記号性も兼ね備えてることだと思うんだよな。
今度、グローブ座である芝居で、ヨーロッパ企画とのカラミが見れそうなので、これは必見なのだ。